コ氏救出

 昨年(西暦二千年十一月)家族から捜索願いの出されていたコ氏が発見された。

 昨年四月(西暦)ごろ最後にコ氏と接触していたY氏の「会社かも」という本年一月七日(西暦)の証言に基づき、職場を捜索。入り口付近のロッカー内に宙づりになっている、コ氏を発見した。救出を試みたが、救出用装備が無く、当日の救出を断念。翌日夜明けを待って、トートバッグを持った救助隊員が、JR南武線と京浜東北線を乗り継いで救出に向かった。

 救出されたコ氏は、半年以上ロッカー内に宙づりにされていたものと考えられるが、いたって元気であった。念の為、一週間の療養の後、社会復帰する予定とのことである。

 検察は、Y氏を容疑者として取り調べを行っているが、Y氏のぼけが酷く、事実解明は難航している。


 取り調べに立ち会った鳥鳥大学三歩教授の発言―「なんでワシが呼ばれたんかのー。ワシゃ若年が専門じゃけーのー。Yはもうけっこういとっるじゃろうが。たぶん正月にカルタとかしりとりとかした影響で、思い出したんじゃろうが。本人は職場のストレスの影響で忘れたいいはっとるがのー、どーやって、証明するんかのー。」

※三歩亡心教授

 若年性痴呆症の研究では国内第一人者。曾祖父は、ヘンデルとグレテルが森中に不法投棄したパンくずを、一晩でたいらげ、この功績を評価され、後に環境大臣になった、三歩消化氏。

ひね暦五十億四十二年九月

自首したから減刑して

 

『コ氏救出』お詫びと訂正

 昨年を「西暦二千年」と表記しておりますが、正しくは「西暦二千三年」です。慌てて二千四年のカレンダーを仕舞われた方々にお詫び申し上げます。